団体の活動状況

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2017年07月27日3月に発売した「パッときざみめかぶ」が好評!岩手県漁業をリードする宮古市の重茂(おもえ)漁協

登録番号 TP170726001
市町村名 宮古市
詳細記事 ◆美味しさ手軽に湯戻しするだけ 「パッときざみめかぶ」◆

宮古市の重茂漁協が売り出した「パッときざみめかぶ」が好評だ。震災のあった3月11日に毎年発表している復興商品の第6弾。めかぶとは、わかめの“ミミ”と呼ばれる根元部分のこと。同品は肉厚で粘りが強い、重茂産めかぶ100パーセントにこだわった。パッと湯戻しするだけで、とろろのような粘りの刻みめかぶができあがる。これからの季節、冷たい麺や冷奴、酢の物など幅広く活用できそうだ。内容量は20グラムだが、戻すと約12倍にまで増える。生協等の食材宅配やオンラインショップで販売され、品質にこだわる消費者に支持されている。これまで、計量と袋詰めは人の手で行ってきたが、徐々に生産が追いつかなくなってきた事から、現在では、自動計量付の袋詰め機械の導入を検討するほどだ。

◆受け継がれた 「天恵戒驕(てんけいかいいきょう)」の精神◆

養殖わかめと、焼うに、天然あわびの水揚高では県下一を誇る重茂漁協。人口わずか1,500人ほどの漁村にも関わらず、県内漁協屈指の水揚量を占める。重茂ブランドを支えているのは「天恵戒驕」という初代組合長の西舘善平氏の教えだ。「天の恵みに感謝し 驕(おご)ることを戒め 不慮に備えよ」という意味である。

自然との共存共栄を目指した取組は、東日本大震災津波においても成果が示された。まず、それが表れたのは「津波の色」だった。海底の堆積物を巻き上げる津波は黒く濁っているものだが、重茂では、青く澄んでいた。美しい海を守るため、昭和51年から合成洗剤の追放運動を行っているほか、漁港・海岸の清掃、海の栄養源として植林活動も行っている。そして、ときに猛威を振るう自然の側面も忘れてはいない。過去の津波の教訓から、難を逃れるため、漁協の事務所は海抜100m程の高台に移転していた。かつて「海の見えない漁協」と揶揄されたこともあったが、事務所が無事だったため、素早く復興に着手することができた。

◆地域の生業を根こそぎ奪った震災 手を取り合って前に進んだ◆

重茂漁協では、所属する漁船816隻のうち798隻が流失し、10カ所の漁港施設、そして海上の1310台もの養殖施設が全壊。あわび種苗センターや加工場、ふ化場などおよそ50施設の被害額だけでも42億円に上った。発災から翌日には対策本部を設置し、漁業の再開を第一目標に決定。当時まだ行方不明者を探す者もいたが、今生きている人を守るため、地域の存続をかけた決断だった。すぐさま復旧作業に取り掛かり、船の確保に奔走。発災からわずか1ケ月の間に、わかめ漁をスタートさせた。船がそろうまでは組合員で共有することで、個人が借金を負わずに漁業を継続できた。

◆教訓を受け継ぎ、感謝の思いを込めて 毎年3.11に復興商品を発売◆

震災の風化を防ぎ、全国からの支援に応えようと、平成25年から毎年1つ復興商品を発売している。最初に手がけたのは、養殖わかめの新芽「早採りわかめ・春いちばん⇒商標登録済」をボイル塩蔵加工し、100gの小袋詰めにした復興商品第1弾プレミアム春いちばんだ。この商品は、通常の本わかめの収穫に先駆け、1~2月の柔らかい新芽を摘み取ったわかめで、シャキシャキとした歯ざわりがありながら、茎まで食べられるほど柔らかい、まさに新春の水揚げに相応しい逸品といえる。もともとこの新芽のわかめは市場に出回らず、漁師が自家で消費する春先の楽しみだった。

平成28年3月11日には、日本一豪華な缶詰を目指し、1缶3,000円の「あわびまるごと黄金重茂カレー」を発売した。スパイシーなカレーの中に、柔らかく煮込まれたエゾアワビがまるごと1個入っている他に、生のめかぶをスライスした物も入れてある。アイドルグループのラジオ番組やNHKの全国版で取り上げられた事もあって、当初5,000缶限定で製造したが、現時点で既に4,000缶以上を販売し、今では残り1,000個を切っている状態で、予想を超えたヒット商品となっている。この缶詰を作ろうと思ったきっかけは、東日本大震災津波の経験から。当時、電気やガス、油が入手困難で、連日の食事が簡便なインスタント食品であった事で、「このような非常事態の中でも美味しく、しかも元気がつく食材はないものか」と考えた。

開発担当の後川良二さんは語る。「流通がストップする災害時には、栄養状態が悪くなります。おなかがいっぱいになり、気分も明るくなる美味しいものは無いかと考えている内に、以前私が子供の頃食べたあわびのカレ-を思い出しました。このあわびカレーは、今より肉が高価だった時代に、重茂で沢山水揚されたあわびを使って食べられていたものです。製作に当っては、同じく震災に逢った地元の缶詰会社と共同開発したまさに復興コラボ商品です。先日久しぶりに食べてみたら、あわび本来の旨みがカレーに溶け出して一層おいしくなった気がしました。同じく缶詰バ-ジョンとして製作した『味付けサバ缶』も販売していますが、現在は原料となるゴマサバが不漁で、注文数に間に合わない生産となっています。他の地域ではサバが大漁に獲れているところもありますが、製造の原点が『地元のきれいな海で捕れたサバ100パーセント使用』となっているので、そこはブランドを守る為、我慢するしかありません。人の口に入るものなので、まず安全・安心が第一であること。重茂ファンのみなさんにA級の美味しさをを味わってもらいたいという思いで商品開発に取り組んでいます」

◆将来を見据え資源を守り、攻める漁業へ 戦略的視点を1次産業に◆

「子孫に誇れる漁村を築こう」と、今だけではなく次の世代を見据える重茂漁協。後川さんは「漁業は1次産業ではありますが、工業分野のエキスパ-トであるトヨタ自動車のカイゼンを取り入れるなど戦略的に事業展開を行っています。又、知的財産権を守る為の商標取得やアレルギー表示など勉強すべきことはたくさんあります」と力を込める。今後も重茂漁協の躍進は続きそうだ。
添付ファイル
復興商品のパネルを持つ、開発担当の後川良二さん復興商品のパネルを持つ、開発担当の後川良二さん
(左から)復興商品第6弾の「パッときざみめかぶ」と昨年発売された復興商品第5弾の「あわびまるごと黄金重茂カレー」(左から)復興商品第6弾の「パッときざみめかぶ」と昨年発売された復興商品第5弾の「あわびまるごと黄金重茂カレー」
あの大津波を高台から撮影されたもの。青く澄んだ色は、海底の美しさを表している。あの大津波を高台から撮影されたもの。青く澄んだ色は、海底の美しさを表している。
投稿者 システム管理者
関連リンク http://www.jfomoe.or.jp/
備考 【関連リンク】重茂漁業協同組合ホームページ