団体の活動状況

団体の活動状況詳細

2017年11月01日災害に強いまちに必要なものとは 陸前高田市防災局の中村さんに聞いた

登録番号 TP171031005
市町村名 陸前高田市
詳細記事 ◆災害に強いまちへ 陸前高田市の防災◆
東日本大震災津波により壊滅的な被害を受けた陸前高田市は、岩手県内で最も多くの人が犠牲になった。住家の半分が津波によって失われ、現在も200名以上が行方不明となっている。市では3.11の教訓を踏まえ、災害に強いまちづくりを進めている。防災局防災課長補佐の中村吉雄さんにお話を伺った。

◆阪神の経験を生かし 防災局で活躍する中村さん◆
中村さんは兵庫県芦屋市の出身。大学3年のとき阪神・淡路大震災で実家が被災したことをきっかけに、地元に戻って救援活動に加わった。そのときの経験から卒業後、大学院に進学し都市防災を学んだ。

平成25年、同市の防災担当職員として着任。被災した方々に直接聞き取りを行い検証報告書の作成に関わったほか、平成28年から陸前高田災害FMのパーソナリティーを務め、防災知識の普及啓発に努めた。「中村君の防災教室」は放送2年目を迎える。

関西弁の快活な語り口調とは裏腹に、2つの震災を経て語られる中村さんの言葉は重い。「我々が目指すのは、多重防災型のまちづくりです。例えば、ハード面の対策として防潮堤の建設が進められています。高さは12.5メートル、4階建てのビルに相当しますが、東日本レベルの津波がくれば防潮堤を乗り越えてしまう。ハード、ソフト両面の対策が重要です」と語り、表情を引き締める。

◆災害における 自助、共助の重要性◆
公助の重要性は3.11以前から示されていた。阪神・淡路大震災における救助の主体は、近隣住民等が約77%、消防・警察・自衛隊が約23%であった。公助の力を高めるには、自助、共助を促進しなければならないと中村さんは言う。

「公的機関が自助、共助の部分まで担おうとすると、仮設住宅の土地の確保や建設など公助(公的機関にしかできないこと)に手がまわらなくなります。これでは復興が遅れ、市民にも不利益です」

陸前高田市では市職員の25%が犠牲となった。避難所は84箇所にものぼり、全てに職員を置くことはできなかった。震災後、陸前高田市が策定した避難所運営マニュアルでは、運営主体を住民と定めている。キーワードは「協働」。現実に機能するように、作成の段階から市民と「協働」で作り上げた。公開後、南海トラフ地震で被害が予測されている徳島県の自治体など、県外からも問い合わせが寄せられるなど注目を集めている。

◆コミュニティーの再生なしに 防災は語れない◆
陸前高田市の人口は約1万9,000人。コミュニティーの問題は無いというイメージを持たれているが、逆に少ないからこそ難しいのだという。生涯地元で暮らすことが多かった陸前高田市では、顔も知らない人と暮らすという概念が少ない。地方都市が抱える課題である。

市内沿岸では震災前、自主防災組織の活動が100%だった。現在は66.7%。県内全体を見ても低い数字である。

5軒以上が集まって高台に移転する防災集団移転は市内に30箇所ある。災害公営は11団地、895世帯が生活している。41の新しいコミュニティーがあり、民間の造成も含めると50に上る。入居は抽選等で決定するため、隣に誰が住むか分からない。「田舎ではあり得ないことです。知らない人とのコミュニケーションはあまり得意ではありません。防災のソフト面の課題がここにあるかも知れません」と中村さんは言う。

自主防災組織は地区間の連携も重要となる。機材等、個別で用意するのは難しいからだ。陸前高田市では年1回、6月に自主防災組織のリーダー研修を行っている。専門家からアドバイスを受けることで知識が深まるだけでなく、リーダーとして自覚が生まれる。

◆自然災害に立ち向かうために 私たちができること◆
中村さんは「防災は重要ですが、それに特化した取組だけでは興味のある人しか参加しません」と訴える。大切なのは、全員が参加することだという。中村さんはポイントとして「(1)災害知識の啓蒙・啓発、(2)1人ひとりに役割を与えること、(3)地域への愛着の醸成」を挙げた。

全く別の分野のように感じられる「コミュニティー」と「防災」。実は、とても関わりが深いもの。地域活動の一片として、防災を捉えなおす必要がありそうだ。
添付ファイル
陸前高田市の防災まちづくりについて講演する中村さん。陸前高田市の防災まちづくりについて講演する中村さん。
官民の「協働」で取り組む防災。連携を深めることで、災害に対応する力が高まる。官民の「協働」で取り組む防災。連携を深めることで、災害に対応する力が高まる。
陸前高田市が毎年6月に開催している自主防災組織のリーダー研修。陸前高田市が毎年6月に開催している自主防災組織のリーダー研修。
投稿者 システム管理者
関連リンク http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/kategorie/bousai-syoubou/bousai-syoubou.html
備考 【関連リンク】陸前高田市ホームページ「防災・消防」