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2020年03月13日【復興ボイス(9)】地域農産物を活かして人気商品に!「鯖しいたけ煮付缶詰」の仕掛人に訊く

登録番号 TP200312001
市町村名 宮古市
詳細記事  三陸産の脂肪分が多いサバと岩手県宮古市産の肉厚な原木シイタケを使った「鯖しいたけ煮付缶詰」が、令和2年1月、三陸鉄道の直営店「さんてつや」を皮切りに発売された。

 この缶詰は、沿岸広域振興局(宮古農林振興センター)が、宮古市の宮古水産高校食品家政科3年生6人と岩手県立大学「復興 girls & boys*」の学生とともに、平成30年度から開発した「サバ椎茸味付缶詰」が元となっている。昨年夏に行われた三陸復興プロジェクト2019のお土産品に選ばれ、数量限定で販売したところ大好評により完売となった人気の商品である。今回企業によって材料や味に改良が加わり、缶パッケージもリニューアルした「鯖しいたけ煮付缶詰」としてあらためて販売が始まった。製造は陸前高田市のタイム缶詰(株)、販売は宮古市の丸友しまか(有)が担う。

 平成30年度から商品開発に携わった宮古農林振興センターの野中里菜主事と宮古水産高の吉田順一先生に、商品化に至るまでのお話を伺った。



――原木シイタケを使った缶詰は珍しいと思うのですが、どういった経緯で作り始めたのでしょうか

野中主事:宮古農林振興センターでは、農産物のPRに取り組んできました。宮古管内の地域農産物には7品目(原木シイタケ・食用ほおずき・紫蘇・畑わさび・大根・ハーブ・リンゴ)あります。沿岸地域と言えば水産物というイメージは強いですが、農産物と水産物を合わせたものが出来たら面白いのではないかと、加工品の開発に実績がある宮古水産高校に協力を依頼しました。



――宮古水産高校では加工品開発に力を入れているのですね

吉田先生:宮古水産高校では「課題研究」として地域水産業の活性化につながるような製品の開発を目指す取り組みを行っており、近年は県のコンクールにも参加し商品化したものもあります。
 今回は農産物と水産物、それぞれ収穫期が違うものでの組み合わせです。近年のサケやサンマの不漁に比べサバは漁獲高がよかったことなどにより、水産物の原料は三陸産の秋サバ、農産物は原木シイタケを使うことにしました。改良が加わった「鯖しいたけ煮付缶詰」のサバは、脂ののった厳選されたものに限定され、より品質の良いものに仕上がっています。

野中主事:水産高校は製品を作ることに重点を置いている学校です。将来的に商品として流通することを目標としていたので、以前から沿岸商品の販売活動をしている岩手県立大学のサークル「復興 girls & boys*」に着目。平成30年夏、高校生と「復興 girls & boys*」との商品開発が始まりました。高校生が試作・製造、主なイベント販売や缶パッケージのデザインは大学生が担当しました。
 試行錯誤を繰り返し、最終候補に残った組み合わせは4種。試食販売を通じてアンケートをとったところ、反応が良く商品化希望の声も出たのが「原木シイタケ」と「サバ」の組み合わせでした。
 原木シイタケは山田町の生産者さんが宮古市で栽培したものですが、全農乾椎茸品評会で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した商品が丸ごと使用しているという点も自慢です。



――今回、産学官連携での取り組みとなりましたが、これまでもあったのでしょうか

吉田先生:大学とは成分など学術的な面での関わり方をしてきましたが、今回はPRといった商業的な部分で関わりました。行政は情報収集や調整、コーディネートと、これまでとは違った連携となりました。また、今回の特徴は「産」が一番最後に携わったこと。これまでは、企業には商品開発の段階で関わっていただいておりましたが、本缶詰めについては、商品が完成し販売実績をあげた後に協力をいただきました。このように、それぞれの得意分野を活かすことができたのが成果につながったと思います。

野中主事:学校も企業もそれぞれが素晴らしい取り組みをしていることを知っていながら、なかなか接点がありませんでした。実は、生産者を始め関係者全員が商品のPRまで責任をもって関わっていただこう、ということを最初に決めました。例えばですが、これまで生産者は企業に生産物を販売すれば関わりが終わるところを、今回は商品化するまで、価格設定の場にも立ち会っていただきました。皆さんから「商品に携わった方がお互いを信頼し合い、最後まで関わったことがとてもよかった」との声をいただいたことは嬉しかったです。



――生徒さんはどのような感想を持たれていますか

吉田先生:様々な職種の大人と経験を積み重ねたことで成長したように思います。「商品を作った主役」として様々なメディアに取り上げられたことも素晴らしい経験で、とても刺激になったようです。先日無事卒業式が行われましたが「楽しかった、自信につながった」と話していました。



――「鯖しいたけ煮付缶詰」に続く第2弾などは考えていらっしゃいますか

野中主事:今回携わってくださった企業2社からも期待の声が上がっているので、現在検討中です。今回で終わりではなく、宮古地域にある岩手県立大学宮古短期大学部などとも繋がり、企業も巻き込んだ地域主体の体制構築を行政として築いていけたらと思っています。

吉田先生:水産高校としてはこれまで農産物を扱うことがなかったので、そういった面でも新たな取り組みとなりました。宮古市は農畜林水産業に恵まれているので、学校だけにとどまらず、街全体のPRにつながるような何かができればと考えています。



 宮古農林振興センター農業振興課の晴山睦課長は「それぞれの立場からのアイディアが一つの形になったもの。地元の方が地元の資源を使った取り組みは、地域の盛り上がりにもつながる。当地域の農林水産物の更なる認知度向上を図りたい」と語った。

 現在は「さんてつや」の他に、道の駅や県内商業施設、アンテナショップを中心に販売、関東や関西にも販路を拡大している。




【主な役割】
■岩手県立宮古水産高等学校
 商品アイディア、試作・製造、試食アンケート、イベント販売
■公立大学法人岩手県立大学「復興girls&boys*」
 商品アイディア、パッケージデザイン、試食アンケート、イベント販売
■原木シイタケ生産者 芳賀氏
 農産物の特徴や生産に対する思いの発信、加工品の試食・助言
■製造元 株式会社タイム缶詰・販売元丸友しまか有限会社
 学生が考案した商品を引き継ぎブラッシュアップ、販路確保
■岩手県沿岸広域振興局農林部宮古農林振興センター
 企画・調整、イベント対応、継続販売に向けた販売・製造の情報収集など
添付ファイル
高校での商品開発の様子高校での商品開発の様子
「岩手ぅんめぇもん!!グランプリ2019」優秀賞受賞。写真後部左手が吉田先生、右手が野中主事「岩手ぅんめぇもん!!グランプリ2019」優秀賞受賞。写真後部左手が吉田先生、右手が野中主事
リニューアル販売した「鯖しいたけ煮付缶詰」リニューアル販売した「鯖しいたけ煮付缶詰」
投稿者 システム管理者
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